新規特許取得【特許番号:第7657500号】Klotho発現を促進するための組成物、及び、それに関連する発明

2025年4月7日に新しい特許を取得いたしました。

間葉系幹細胞は抗炎症効果など様々な治療効果が期待され、数多くの研究がなされています。しかし、その詳細な分子メカニズム・作用機序はほとんど明らかになっていません。

当社は、間葉系幹細胞の分泌物を含む培養上清が、個体の寿命と深く関わっていると考えられているKlotho遺伝子の発現を上昇させる効果があること、さらに培養上清中のKlotho遺伝子の発現上昇に有効な成分としてTNFSF12/TWEAK (TNF super family 12/TNF-related weak inducer of apoptosis)を同定し、その発見を元に特許を取得しました。
間葉系幹細胞の様々な治療効果はKlotho遺伝子の発現上昇を介している可能性があり、本特許はその基盤となる重要なものであると考えています。

<特許概要>
発明の名称:Klotho発現を促進するための組成物、及び、それに関連する発明(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7657500/15/ja
特許番号:第7657500号/特許権者:株式会社バイオミメティクスシンパシーズ
出願日:令和6年3月27 日(2024.3.27)/登録日:令和7年3月28 日(2025.3.28)

<Klothoとは>
マウスにおいてKlotho遺伝子に変異が入ることで早老症状を示すことが報告され、寿命を司る重要な遺伝子であることが示唆されています(1)。ヒトにおいても血清中のKlothoタンパク質の量と年齢が逆相関するという報告もあり(2)、すなわち年齢とともにKlothoタンパク質が減少することで老化現象が進行する可能性が示唆されています。
Klotho遺伝子は寿命以外にも、がん・認知症・神経変性疾患・肺線維症・インスリン分泌能・慢性腎疾患・骨粗鬆症など、様々な疾患に重要であることが示唆されおり、Klotho遺伝子の発現上昇に寄与する化合物などの探索・研究が数多く行われています。

<培養上清とは>
細胞を培養するには、細胞培養用の培地(液体)を使用する必要があり、この中で細胞が増殖していきます。
その増殖の過程で、細胞から様々な分泌因子が多数放出されることがあります。この細胞からの分泌物を含んだ培養液を、培養上清と呼んでいます。
様々な細胞が存在していますが、その中でも当社が研究している間葉系幹細胞は、非常に治療効果の高い種々の増殖因子やサイトカイン、エクソソームなどを培地中に分泌することが知られています。

  1. Nature.1997 Nov 6;390(6655):45-51. doi: 10.1038/36285.
  2. Biochem Biophys Res Commun. 2010 Jul 30;398(3):513-8. doi: 10.1016/j.bbrc.2010.06.110.